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園芸福祉

 

園芸福祉とは、子ども、若者、お年寄りなど障害があってもなくても全ての市民が*1「園芸を通して心身ともに健康な生活を送ろう!」という活動のことです*2。

植物や園芸活動には、私たちの心や体、自然環境などに対してさまざまな効果があります*3。

 

◯身体的効用

農・園芸作業では、「歩く」「座る」「立ち上がる」などの基本的な動作に加え、「草を取る」「土を耕す」「収穫」などの多くの動作が含まれています。これらの動作では、必ず体のどこかの筋肉を使うものであり、運動能力の維持・増進につながります。

また、適度な疲労感を伴う園芸活動は、達成感や満足感を感じることができます*4。

 

◯心理・生理的効用

農園芸に関わることによる心身の健康や癒やしの効果は、古くから感じられてきました*5。

近年、これらの効果を科学的に検証するため、多くの研究が行われています。

例えば、ハーブを用いた園芸作業の前後で不安や怒りなどの負の感情が低下し、ストレスホルモンの分泌が抑制されました*6。また、植物を見ることで「癒やし」の印象を受ける、血圧が安定する、ストレスホルモンが減少するなどの効果が報告されています*7。

 

◯環境的効用

ヒートアイランド現象の緩和、都市の気温の調節、美しく潤いのある都市景観、緑の存在による周辺地区への地価上昇などがあります*8。

 

◯教育的効用

植物を育てることは、自然観察や理科学習の実践の場であり、仲間との共同作業により連帯感を育むことができます。また、植物を栽培・収穫し、植物本来の味を知るとともに、その加工等を通じて活用方法を学ぶ、食農教育としての効果もあります*9。

参考文献

*1日本園芸福祉普及協会,園芸福祉のすすめ,第3版,p.21,2004年,創森社(東京)

*2日本園芸福祉普及協会,園芸福祉入門,pp.43-46,2007年,創森社(東京)

*3以下の4つの効用は、「園芸福祉入門(日本園芸福祉普及協会 編),pp.43-46」より抜粋

*4田崎史江,補完・代替医療 園芸療法,pp.71-74,2006年,金芳堂(京都)

*5日本園芸福祉普及協会,園芸福祉のすすめ,第3版,p.26,2004年,創森社(東京)

*6嵐田絵美ほか,心理的ならびに生理的指標による主としてハーブを用いた園芸作業の療法的効果の検証,芸学研究Vol.6,No.3,pp.491-496,2007年

*7岩崎寛ほか,都市公園内の芝生地およびラベンダー畑が保有する生理・心理的効果に関する研究,日本緑化工学会誌,Vol.33,No.1,pp.116-121,2007年

*8茨城県ホームページ:http://www.koen.pref.ibaraki.jp/pdf/2013_00.pdf(2014年7月22日閲覧)

*9日本園芸福祉普及協会,園芸福祉入門,pp.37,2007年,創森社(東京)

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